三階席から歌舞伎・愛 PR

團菊祭五月大歌舞伎_見た目鮮やか、拍手喝采の「暫」

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歌舞伎をほぼ毎月楽しんでいる50代男性。毎月観るために、座席はいつも三階席。
初心者ならではの目線で、印象に残った場面や役者さんについて書いてみます。

五月の歌舞伎座は、三年振りの團菊祭。
團菊祭とは、九世市川團十郎と五世尾上菊五郎の功績を広く世間に知らせる興行のことで、
市川團十郎家、尾上菊五郎家ゆかりの演目を上演します。

平日の歌舞伎座は満席。復活しためで鯛焼きも早々に売り切れていましたし、毎月お土産で購入しているSNOOPY(すぬぅぴぃ)と歌舞伎のコラボのクリアファイルも売り切れ御免でした。
歌舞伎座に客が戻ってきた証です。

第二部を観ました。三階席が取れず、第二部は一階席後方からの観劇です。
この日は、午前中に仕事がどうしても外せなかったため、スーツ姿で歌舞伎座へ。
一階席でしたから、少しかしこまった風になりました。

第二部 一つ目は、「暫(しばらく)」
市川海老蔵さんが鎌倉権五郎景政を演じます。
なんといっても團菊祭復活にふさわしい、見た目の華やかさ。
正直言えば、舞台上は密です。
この演目は登場人物たちが皆、正面を向いて喋ります。
市川左團次さん演じる清原武衡の顔は、藍隈といって青い隈取。
その家臣たちも赤っ面や腹出しなど、派手な見た目で悪人を演じます。

武衡が因縁をつける相手は加茂次郎義綱(中村錦之助)。
その義綱が首を刎ねられそうになるところにスーパーヒーロー鎌倉権五郎景政(市川海老蔵)が
「暫く、暫く」と出てきて、止めに入るのです。
景政の登場で場内は拍手大喝采。
成田屋の三枡が描かれた大きな袖と長い袴に長い太刀。
この出で立ちを見られるだけで、なんだか縁起がいいような、スーパーヒーロー感がすごいです。

武衡の手下のたちが景政を花道の七三に留め、入れ替わり立ち替わり、追い払おうとするやりとりもちょっと遊びがあって、
その度に客席が沸きました。

最後は鎌倉権五郎景政が十人ほどが打ち掛かって来たところを一太刀で討ち取ります。彼らは赤布を広げ斬られたことを表現。次の瞬間、十個の首がゴロリと舞台に転がる演出。
これに拍手喝采。
海老蔵さんのよく響く声には終始拍手喝采。
私としてはこの声にはさほど感じ入ることはありませんでしたが、
これだけ客席が沸くということは、歌舞伎におけるスーパーヒーローを熱望する気持ちというのは、根強いのだなと思いました。

「暫」は、2021年東京五輪開会式でも披露されましたので、
成田屋の伝統芸を見るというだけでも大満足できるのではないでしょうか。

CHECK!

舞台写真付きの詳しい歌舞伎レポートは、エンタメターミナルの記事「歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」が開幕!公演レポート、舞台写真掲載」をご覧ください。

文・片岡巳左衛門
47歳ではじめて歌舞伎を観て、役者の生の声と華やかな衣装、舞踊の足拍子の音に魅せられる。
以来、たくさんの演目に触れたいとほぼ毎月、三階席からの歌舞伎鑑賞を続けている。
特に心躍るのは、猿之助丈の化け物や仁左衛門丈の悪役。