ドラマの中には暮らしや整理収納のヒントがあふれている。
あのテレビドラマのシーンから整理収納のプロが分析・解説する!?
ちょっとニッチなドラマレビュー。
小さなころからテレビドラマが大好きです。
妄想癖がある私は画面を見ながら自由自在に思いを巡らせていました。
整理収納アドバイザーになってからは
そのシーンや内容は「整理収納」とリンクしても楽しめるようになりました。
今回私が取り上げるドラマは、伊藤沙莉さん主演の「シッコウ!! ～犬と私と執行官～」です。
「ペットに関わる仕事がしたい」と信用組合を辞めて地方から上京してきた主人公 吉野ひかり（伊藤沙莉）。 ひょんなことから知り合った「犬が苦手な執行官」小原樹（織田裕二）に言われるがまま「執行官補助者」という仕事に就き、今後様々な「シッコウ」に関わっていくであろう？ という物語です。
執行官補助者とは「執行官を補助する人」なのですが、では執行官とはどんな職業なのでしょう。私も初めて知ったのですが、番組 HP から引用しますと、【各地方裁判所に所属する裁判所の職員であり、裁判で出された結論が実現されない場合に、それを強制的に執行する仕事。 家の明け渡しや、貴金属などの動産の差し押さえ、子の引き渡しなど、その仕事は多岐にわたる】とあります。
あまりなじみのないお仕事なのでとても「興味深い」です。（このフレーズはドラマ内によく出てきます。）
第１話は次のような「家」の明け渡しの執行が行われました。
失業により家賃を滞納していた二川さんはひかりと同じアパートに住むお向かいさんです。
大家さんに裁判で負けて、立ち退きを言い渡されていたにも関わらず期日までに退去しなか
ったため執行の対象になっていました。
立ち退き期限日に立ち退かない場合は強制的に家財を運び出され、鍵を交換されて家を出さ
れます。 その時に鍵を開けたり荷物を運び出す作業をするのは「執行補助者」の仕事です。
アドバイザー的に気になったのはこの執行補助者の持ちものです。
執行補助者は鍵を開けるための様々な工具などをウエストバッグや手持ちの工具入れに持ち
運んでいるのですが、それらは１つ１つの工具用に仕切られた収納場所が決まっており、工具の手入れも念入りにしているようでした。
現場では素早く工具の出し入れを行い、開錠も荷詰め作業も無駄がありません。
私もお片付けの現場で使うハサミ、カッター、スケール、ペンなどなどウエストバッグに入れて作業をしていますが、彼らほど素早く出せているかというと自信がありません。モノの出し入れの時間が短縮できれば、その分作業の時間が取れます。
私ももっと収納の工夫をして素早く出し入れできるよう改良したい！と物語とは全く関係な
い場面で力が入ってしまいました。
二川さんは夫婦と息子の３人家族です。立ち退きを言い渡されて戸惑う３人に、ひかりはお向かいさんとして荷造りの手伝いを申し出ます。
二川さん家族にとってはかなりつらい場面ですが、ひかりはあえて感情的な言葉を言いませ
ん。
「お鍋やお茶碗があったほうが良いのでは？」
「三角定規はどうする？」
など動揺する奥さんや息子さんにも声をかけて荷作りを手伝います。
私は、アドバイザーとして普段モノの選別をサポートしていますが、このように手に持てるだけしかモノを選べないとしたら、それも限られた時間で荷物を詰めなければならないとしたら……。 かなりハードルの高いサポートになるでしょう。
でも、ひかりのお手伝いはとても良かったと思います。つらい気持ちを察しながらも、
現実問題として今すぐに立ち退くことが決まっているのならば、混乱している人に対して何を選ぶとその人の役に立ちそうか具体的にアドバイスしてあげることが周りの人にできる最善のサポートだと思うからです。
昔「同情するなら金をくれ！」と叫んでいた小学生がいましたが、寄り添ってやさしい言葉をかけることも尊いですが、本当に困っている時には具体的で効果的なアドバイスやお手伝いがありがたいと私なら思います。
今後、少々おせっかいなひかりが執行補助者として執行される人とどのように関わっていくのか、アドバイザーとしても興味が湧きました。
第１話は執行される側の様子が主に描かれていましたが、なんといっても織田裕二さんが久々の連続ドラマ出演ですから、執行する側であるひかりと小原の背景がどのように描かれていくのかがとても気になります。
小原は、ところどころ「ジーザス！」「オーマイガー！」と口をついて英語が出ているところを見ると、もしかして海外生活が長かったとか、ほかにも犬が苦手な特別な理由があるのかなども注目したいですね。
