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京都で庭園を楽しむ④_重森三玲庭園美術館

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日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。

庭園に焦点を当て、作庭家 重森三玲さんの庭をめぐる京都。
ラストは、東福寺から出町柳へ電車で移動して、重森三玲庭園美術館へ。
こちらは重森三玲さんの旧宅で、吉田神社の神官の邸宅を譲り受けたものとのこと。
見学は定員ありの予約制。私たちを含め5人が同じ時間帯に見学した。

館長は、重森三玲さんのお孫さんの重森三明さん。
落ち着きのある、というかややローテンションで案内してくださる感じが、
この日の雨の庭にしっくりきた。

ちなみに、重森三玲の三玲はフランスの画家、ミレーからつけた名だという。

まず、書院に上がらせていただき、ここから庭を見る。
この位置からの眺めがもっとも美しいとナビゲートされ、一人ずつ写真におさめていく。
やはり石が美しい。石の立ち姿、座り姿?が美しい。
青石と呼ばれる巨石は徳島のものだそうだ。
この日は生憎の雨模様だったが、気にならない程度の降りだった。

館長曰く、新緑の庭を見るなら、雨の日が最高。今日のような天気の日は庭が一番美しく見えると言ってくださった。
たしかに緑は艶やかだし、雨に濡れた石は色が濃く、コントラストが美しい。

廊下の手前まで出ると、このように見える。
中央の平たい石が池のようにも見えた。枯山水庭園という。

目線を右に振り、左に振る。当たり前のことなのかもしれないが、ベストポジション以外の角度も美しい。
それは庭を見る人間のためだけに作られているわけではなく、例えば鳥からの目線、雲からの目線、風からの目線にまで配慮されているのではないか、
ちょっとそんなロマンチックなことまで考えたくなるふうだった。

見学時間は有限なので、では次に……となるが、許されるなら時間を忘れて庭を眺めていたい気持ちになる。

重森三玲邸には、茶室もあり、ここも外から見学できた。
まずは、茶室から見える庭。
美しい州浜の曲線、苔の緑と石の赤色の組み合わせがいい。
重森三玲さんは茶人でもあり、茶室や茶室から見える庭園を数多く手掛けている。
自邸に作った茶室がこちら。

モダンという言葉は使い古されてしまっていて、好まれないかもしれないけれど、
大胆なデザインとこの色使いはやはりモダンと言いたくなる。
見学の中で、館長に質問をした。
「三玲さんは海外に行かれたことはあるのですか?」
答えはNOだった。フランスの画家の名を後に付ける三玲さんは、岡山生まれで、日本画を学び、イサム・ノグチさんらとも交流が深かったまさにアーティストだったわけだが、
つまり海外に行かなければ芸術は学べないなんてことはないのだという。

「三玲さんはどのような性格だったのですか? 社交的だったのでしょうか?」
この質問を投げると、「人と話をするのは好きでしたね。何時間でも庭のこと、茶のこと、その他のことも語れる人でした」と館長。

日本全国から多くの作庭オファーを受けた人だもの、きっとコミュニケーション技術も持ち合わせたに違いない。

見学者の中に、岡山に所縁がある方もいらっしゃったので、館長から岡山の地理や歴史についてもかなりご披露いただき約1時間の見学は終了した。
これは出入り口から見た主庭。
うーん、ここから見える庭も美しい。

松尾大社の「曲水の庭」、高野山の宿坊・福智院、兵庫県・住吉神社庭園「住之江の庭」など、重森三玲の作庭した庭は全国に数多くある。
少しテーマを絞れば、こういう楽しみ方も出来るのだと知った今回の京都。
「庭園」はこれからも気になるワード、気になる場所になるに違いない。

帰宅して、荒れに荒れた庭を見て、大きくため息をついた。
縁側に座って眺めたくなる庭……大きなことは言わず、まずは伸び切った草をなんとかしなければ。