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奈良に行ったなら⑦_葛きりはおあずけ

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日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。

人生初の「奈良」をエンタラクティブにお届けする短期集中連載。東大寺 二月堂で行法味噌を購入して大満足だったのが前回。

奈良に行ったなら⑥_行法はぎょうぼうと読む日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。 短期集中連載_奈良に行ったなら⑥は、二月堂茶所で出会し、試食し、お土産に購入した行法味噌の話。...

東大寺の南大門を潜り抜け、昼食に入ったお店は、創業1615年に遡る吉野本葛の老舗、「黒川本家」。葛のスイーツと創作葛料理のお店ということで期待が膨らみまくっていた。店に入ると、コロナウィルスまん延防止対策につき、最少人員にて営業しているため、提供までにお時間をいただきます。
とはっきり書いてあった。

そして、そのお断りの通り、店はランチ時でてんてこ舞いの様子だった。
けれど、お断わりが効いているのだろう。お店の方も思った以上に焦ることはなく、客も比較的のんびりしている。
葛餡をかけていただく丼をいただいたが、お味はさほどのことはなかった。(あら辛口)
本当なら葛きりを食べたかったけれど、この様子では提供までに時間がかかるだけでなく、いろいろがっかりするかもしれないから止めておこうということになった。
「奈良で葛きりを食べる」というやりたいことリストは、今回はおあずけとしよう。

昼食を終えて、お土産購入タイムを少し設けた後、興福寺に向かった。
駅に近いこともあり、ここをゴール地点にしておくのが安心というプランだった。
「国宝館」に入館すると、「お静かに」と立札を持ちながら、順路を誘導する係の方がいた。
修学旅行の団体らしき人たちもいたから、入場人数によってこうした係の方の出番がやってくるのだろう。
ここには、かの有名な、阿修羅立像がいらっしゃる。
阿修羅ブームが起きたのは、2009年のことらしい。
お察しの通り、私はブームに乗れないタイプなので、この国宝 阿修羅立像を間近で見るのは初めてだ。

イケメンと名高い阿修羅には、個人的に心惹かれることはなかったが、
734年に作られたという八部衆立像の並びは見事だった。
影が美しい。これもすべて計算されつくしたうえでの展示なのだろう。

詳しくないなりに、あしゅら、ごぶじょう、さから、くばんだ、けんだつば、かるら、きんなら、ひばからと、八部衆の名を呪文のように読み上げながら、一体ずつ丁寧にみる。

ひっそりと静かな国宝館は、順路に沿ってすすめば、スイスイと行けてしまうのだろうが、呼吸を整えながら、ゆっくり歩くとなんとなく落ち着いてくる。
博物館や美術館は、人に抜かされてなんぼ……という感じかもしれない。

国宝館を出ると、今度は五重塔の方へ向かった。
それなりに人出もあるが、なにしろ敷地が広いので混みこみしたところはなく、開放的だ。

開放的すぎる人も見かけた。
五重塔をバックに、ピチピチのTシャツ姿でマッスルポーズをキメて写真を撮っているカップルがいたのだ。
筋肉&プロテインLOVEの彼らにとっては、五重塔は映える背景ということなのだろう。
「なんかなぁ……」とつぶやきながら、五重塔の隣の東金堂の薬師如来坐像と四天王立像に会いに行くことにした。
そこで私たちは素晴らしい瞬間に立ち会えることになる。
(つづく)

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