日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。
学生時代の友人6人で久しぶりに集まったのは春のことだ。
ランチを終えて、庭園散策をしようということになった。
朝から生憎の雨だったが、どうやらだいぶ小降りになったみたいだ。
ランチをしたレストランから庭園へ行くには、ホテル棟からバンケット棟への移動が必要だ。
いや、後になってよく見ればホテル棟の1階からも庭園に出られたようだが、何しろテンションが上がっているわ、慣れないわで、
「あ、あっちだ!」「こっちだよね」「ここからでいいんだよね?」なんていうのを
6人が適度に無責任に言いながら庭園入口をめざした。
それで間違えたとしても、アハハと過ごせる気楽さがあった。
少し歩いて振り返ると2人が遅れてる。
「あれ?来てる?」みたいなこともあるが、これも久しぶりの感覚。
学生時代の友人たちとは海外旅行にも、1泊旅行にも行った。
6人全員参加というのは、それぞれのライフプランの関係でなかったかもしれないけれど、
友人の結婚式参加のために行ったハワイのショッピングセンターでも「あれ?来てる?」みたいなことはあって
「立ち止まる時は、ちょっと待って! とか声かけてよ!!」なんて言ったりしたものだ。
そんな何十年前のことが、一気に甦ってきて、
変わっていない自分たちにまた楽しくなってしまう。
その日は大安吉日だった。数日前に、今年の最強吉日もあったりしたからもあるのかな、
とにかく館内、特にバンケット棟はブライダル関係の客でごった返していた。
いったいこの日だけで何組のカップルが良き日を迎えたのだろう。
「めっきりこういう晴れがましい場にも呼ばれなくなったよねー」
これもまた私たちの年齢あるあるだろう。
寿貧乏なんて言葉があった時代が懐かしい。
着る服に悩んで、髪やネイルも気にして、「なんだかんだとお金かかるよねー」
とブースカ言うのも幸せで青春だったよなと。
チャペルの横を通り過ぎてなんとか庭園に出た。
ここの庭園の見どころは「東京雲海」。30分に一回、人工的に霧を発生させ、庭園が雲海のように白く包み込まれるのだ。
少し前にホテルの廊下からその様子を見降ろしていた。
ちなみに、夜にはライトアップがあり、朝と夜には大雲海と称し、より大規模に雲海が広がるらしい。
私たちは運よく桜満開の時期に訪れたので、桜と雲海が見られるタイミングだった。
さて、次の雲海タイムまでは少し時間がありそうだ。
……ということで、順路に沿って庭園内を歩くことにした。
こういうところが結構真面目だ。
「えー、行くの~? 私はいいかな」みたいなことを言う人がいない。
久しぶりにあった6人は、この非日常を存分に楽しむ準備が出来ていたからだろう。
この日のことを事前にグループLINEで打ち合わせをしている時に、
「記念写真撮るから!誰かいい道具持ってる人いたら、持参してね」みたいな話になった。
「え、あのフワちゃんみたいなやつ?」
すでに自撮り棒という言葉自体もちょっと懐かしくなってしまった。
元々、自分は写る側ではないので、もちろん私も持っていない。
すると、メンバーの一人が、ご主人が仕事用に使うために家にあると立候補してくれた。
誰も使い方がわからないから、使い方、練習してきてね……と謎の宿題も出す形で当日を迎えていた。
順路をたどり、池まで降りてきたところで、いよいよ雲海タイムがやってきた。
むせるほどの霧に包まれ、大はしゃぎの6人。
自撮り棒で背景真っ白の記念写真も撮れた。
時折、スマホで動画も回したが、とにかく楽しそうな笑い声に包まれている。
あの人たち、なんであんなに盛り上がってるんだろうね、と思われていたかもしれない。
生憎の天気と、とても肌寒い日だったので、庭園はあまり混雑しなかったため、
よそ様にはご迷惑をおかけしなかった……はずである。
その後、ロビーの素敵な家具がある場所で気取って写真を撮ってみたり、
大混雑のメインロビーで6人で撮るタイミングを見計らったり、
なんだかんだと時間が経過したところで、椿山荘を後にした。
さあ、この後、どうする?
ということで、たぶん、つづく。