日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。
パークハイアット東京の「チェリーブラッサムアフタヌーンティー」を前にやや緊張しながら最初の紅茶をオーダーし、初めてのアフタヌーンティーを思い出したりしたという話が前回。
メニュー名を見ながら、「これがこれだね、それがそれだね」と言いつつ、お皿に取っては、ちょびっと食べ、そして何より久々の先輩方との再会で会話が弾んだ。
それぞれこの間、何をしていたのか。
さほど年齢は変わらないのに、先輩の前だと甘えて私の話を聴いてもらうターンが多かったかもしれない。
さて、そろそろ2杯目の紅茶を頼もう。
私はたくさんあるメニューの中から、スリランカのヌワラエリア、ラバーズリープ茶園2021年 をオーダーした。
「次はこれに決めていたの」みたいな知った風な顔でオーダーした。
理由は、連載tea and・・・ で紅茶の和菓子について書いてもらっていた中にこの茶葉の名が出て来ていたからだ。
見たこと、聞いたことが一度でもあると、興味の対象は限りなく広がるのだということを
身をもって知る。
お行儀が悪いかもしれないが、ポットを開けて茶葉を見た。
先ほどの飲んだダージリンとは全然違う。
たしかに色は薄めで少し渋みもあり、スッキリした味だ。(紅茶エッセイのまるっと受け売りです)
「ティーカップの持ち方はこうなんだよね」とか、「これはおかわりできるのかな?」など、その後もちょっと緊張モードは続けつつも、そうした疑問の合間には
「いいんだよ、美味しくいただけば正解だよ」「そーだよそーだよ」
なんて自分たちでフォローを入れながら楽しんだ。
甘いもの以外のフードメニューも手が込んでいた。
ビーツの赤色が鮮やかだし、タルトやパンケーキみたいなミニサンドなどいろいろ。
トレーには桜のプリントがされていた。
ちなみにこのフィンガーフードはおかわりOK。
1回分で十二分にお腹は満たされていたけど、なんとなくそれぞれが気に入った何品かをリピートした。
この感覚がとても日本人的よね……と思いつつ「結構口の中が甘いものだらけになっちゃったから、甘くないのが欲しいよね」と誰にも責められていないのに言い訳のようなことを口にしてしまう私。
麗しのアフタヌーンティーは、自分の小市民さを自覚する場でもある。
飲み物は、チョコ味のメニューを食べる時にコーヒーを、大好きなアールグレイもオーダーしたっけな。
ややつまらなさそうにサーブする若い方は、媚びないホテルマンといった雰囲気。
余裕を持ってサーブするベテラン風の方もいて、そうされると心地よいなといい気分が増したりした。
どちらが男性で女性だったかはこの際書かないことにする。
さあ、心もお腹も十分に満たされた。時間もそろそろ予約の制限時間になる。
座った時には、体をしっかりホールドしてくれるソファだと書いたが、
立ち上がる時には、まあまあ体が沈んでいた。
そりゃあそうだ、こんなに飲んだのだもの、食べたのだもの。
私は途中、一度もトイレに立つことがなかったし……。
ピークラウンジを出て、ようやくトイレに向かった。
そして数十年ぶりにやはり思った。
「ここなら住める。仕事も出来そう」
おっとっと、麗しのアフタヌーンティーだった。
そうだ、この日は友人に選んでもらったあたらしい服を着て出かけていた。
二人の先輩はワンピースだったし、もうそれだけで春だし、久々の再会だし、麗しのアフタヌーンティーなのだ。
自分たちの写真は撮っていなかったことには後で気づいた。
やっぱりちょっと緊張していたのかな?
そんな風にも思ったけれど、考えてみたら今までも自分たちの写真を撮ることなんてなかったのだ。
また次に会う時まで!とさわやかに三方向に別れて帰路についたあの日を思い出しながら、
そういう変わらない感じが改めて嬉しくなっている。
おわり。