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アノ証明写真の呪い

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日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。

駅までの道を自転車で行くと、休日だからだろうか、初心者マークをつけた車が多い気がした。
車のユーズド感に対してマークだけがピカピカしているし、自転車の横を通る時に極端に減速する車もそうだ。
実際、春休みに免許を取得する人は多いから、この時期にいよいよ運転ということなのだろう。

免許と言えば、先日、運転免許証の更新のお知らせが届いた。
はぁそうか、ようやく5年が経過したかと苦笑いした。

それは5年前の免許更新の時のことだ。これまで幾多の人が不満を口にしてきたであろうアノ、免許証写真の洗礼をまたしても浴びてしまったのだ。
襟のあるシンプルなシャツを着て、数日前にヘアサロンにも行き、程よい感じに仕上げてもらった髪型でいざ撮影。

……出来上がりの免許証を見て呆然となった。
コントみたいに左サイドの髪がハネている。元々クセっ毛ではある。それを活かした髪型も今は好きだ。
しかしこれは違う。
ハネている。コントみたいに。
ハリガネの入ったヅラみたいにピンとハネている。

寸前に鏡を見た時にはそんなことはなかった、はず。
いや、そもそも鏡をしっかり見る余裕もなかったかもしれない。
免許証の撮影を担当していたのは、センターのおば様だった。

こんなに見事にハネていても機械的に撮るのね、そうね、それが仕事よね。
髪をなんとなく撫でるふりとかしてくれたりもしないよね。
うん、しないよね。

私はこれまで数々の取材撮影に立ち会い、何人もの方の髪のハネや、顔にかかる髪を直してきた。うん、してきた。
そりゃあ、仕事だからね、雑誌やWEBに掲載するための写真だから当然で、免許証は表に出すための写真じゃないさ。
でも、でもさ。コントのようなハネ……だよ。

ここから5年間、使うわけかとショックを持ち帰り、夫に見せたら
「これは……」としばし沈黙した後、なんと言ったか今はもう覚えていない。

マイナンバーカードを作ってから、証明書として免許証を表に出す機会はほぼなくなったが、私は義母を病院に連れて行く時など、ちょくちょくレンタカー使うのだ。
当然、運転免許証が必要になる。

手続きがラクになるレンタカーのアプリ会員になってからは改めての提出が必要なくなったが、
代わりにコピーがファイルに挟まれている。
レンタカーを借りる際にそのコピーがチラと見えるのだが、白黒コピーでも
そのコントのようなハネはしっかり確認できる。

実際、それを気にする人などいないだろう。
しかし、誰より私が残念すぎた。
一生懸命、目を見開いているのにそこ頑張っても髪ははねている、コントみたいに。

さあ、5年ぶりの免許更新、今度こそはマシな写真が撮れるだろうか。
「今度こそ」には根深い事実があって、このさらに5年前の写真もやらかしていたのだ。
それはまた別の機会に。