クリッセイ

常連顔

日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。

人気のコーヒーショップ、スターバックス。
私が利用する最寄り駅には2店舗あるが、いつも店内は混雑、テイクアウトも時間によって行列していて、実はあまり利用する機会がない。
いつでも行けるという気軽さと、地元なのに並ぶとか待つというのに耐えられない、
それが理由だ。

最近はモバイルオーダーなるものもあるので、もっと賢く使えば? と言われてしまいそうだが、店内がNGとなるとテイクアウトしてゆっくりできる憩いのスペースみたいなものは、わが街には足りていない、
それも理由だ。

とか言いながら、先日、食後の一杯を飲みたくて友人と閉店1時間前くらいの店舗に行ってみたところ、意外なほどに空いていたので、店内を利用することにした。

レジに向かうと、満面の笑みで黒エプロンの店員さんが
「いつもありがとうございます~! よくご利用いただいてますよね」と
超常連をもてなすテンションで声をかけてきた。
なんならちょっと手もパタパタと振っていたような。

キョトンとする私。
この店の前はよく通るものの、先のような理由で利用したことはほとんどないのだ。
その店員さんの勘違いかと思いきや、隣にいた緑エプロンの男性店員さんも、うんうんとうなずくようにしてウェルカムしていた。

コミュニケーション求めすぎ病の私だが、さすがに嘘を演じることはない。だから
ひたすらにキョトン顔で首をかしげてみた。
この日、私は久しぶりにお気に入りのハンチング帽をかぶり、とてもラフな服装だったのだが、そういう格好や体型のお客さん(しかもまあまあの常連)がいるのだろうか。

ま、まさかドッペルゲンガー?

謎を残したまま、メニューを見ていた私に向かって、黒エプロンの店員さんは、臆することなく、フレンドリーにガラスケースの中のフードメニューについてのプレゼンを始めた。
「たった今から、ここに並んでいるフードメニューはヨーグルトをのぞいてすべて20%OFFになりますので、良かったら連れて帰ってください」

スターバックスが、閉店1時間前、フードロス削減のためのフードメニューのディスカウント、「SAVE FOOD」の取り組みをしていることはニュースなどで知っていた。
でも、先のような理由で(2度目)、地元の店舗を利用することがなかったのだ。
3連休の最終日、ガラスケースの中にはかなりの数のスイーツが並んでいた。

食べ物を「連れて帰って」と表現することへの好き嫌いはあるかもしれないが、
屈託なく客に薦めるその姿勢とテンションに私は嫌な感じはしなかった。

結局、私も友人も店内では飲み物だけをいただき、いくつかのフード&スイーツをテイクアウトにした。

それにしても、あのなかなかの勢いで常連だと間違われたのは何だったのだろう?
まさか、「フレンドリー入りからのSAVE FOODのための高等テクニック」というわけではあるまい。
ちなみに、その店員さんは、私たちへの接客が終わった後も、さわやかな「連れて帰ってください」攻撃を展開し、その後のお客さまにもしっかりテイクアウトを促していた。

こうなると、あまり間をおかずにまたあの店舗を利用してみたくなる。
他にも私を常連と間違う店員さんがいるのか?
帽子をかぶっていなかったら、もう少しよそゆきの格好だったらどうだろう?
まさか偶然に、私に似た!? 本当の常連さんに出くわすことがあったりするのだろうか。

いや、もしあの店員さんが、次に行った時はまったくの無反応だったら、なんかそれも怖いなぁ。
好奇心が勝つか、行列に負けるか、少しだけ楽しみが増えた。