理由あって週イチ義母宅に通っている。
これは、主にその週イチに起こる、今や時空を自由に行き来する義母とその家族の、
ちょっとしたホントの話だ。
月初なので義母宅に行った際にカレンダーに書き込みをした。
最近は、紙に私が書いたものを見本にしてもらうスタイルになった。
私が通う曜日には、
〇時 ヘルパー
〇時 私の名
を並列で書いてもらう。
私の名前の漢字など、毎回思い浮かびはしないので、
「日を3つ書くのよ、与謝野晶子の晶子よ」と言っていたが、
それもなかなか通じなくなってきたので、自分で紙に書きながら説明する。
達筆だった義母と違い、私はベタッと可愛くない字になる。
それを見本にすると、義母の字も気持ちベタッとした。
何回目かの私の名前が、昌子になった。
「違うよ、人の名前間違えないで」
無感情で伝えたら、ペンが悪いと咄嗟に義母は言った。
咄嗟にそれが出るのはすごいじゃないか。
たしかにこの日使っていたペンは太めで書きにくかったところはある。
余白に書き直してもらった。
昔から日が3つなのに2つに間違えられるのが嫌だった。
誰だって名前を間違えられるのは愉快ではないだろう。
読み方をよく間違えられる方もいるだろう。
「いつものことなので」とさらりとかわせる人もいる。
取材で名前の読み方をうかがって、珍しい読み方を教えてもらうこともよくある。
仕事柄、名前を間違えるのは特に気をつけなくてはいけない。
もちろん過去にやらかしたことはある。
いくつもの目があったはずなのに、スルーしてしまって失礼をした経験もたしかある。
世の中にweb媒体が増え、SNSで気軽に発信も出来る今、
他人の名前を堂々と間違えているものをよく目にする。
大胆に何度も間違えているのを見ると、他人ごとながら胃がキリキリと痛むような感覚にも陥る。
せっかくの内容が台無しになることがあるから気をつけて欲しいし、
書いたら読み直しもした方がいい。
自信がない人は、自分の書いたものを読んでくれる信頼のおける人を持つのがいい。
鼻毛が出ているのに教えてくれない知人より、こっそり教えてくれる人を友人と呼びたい。
私はそうしている。
おっと、義母宅の話だった。
実は義母は結構、息子の名前を間違える。
この日のカレンダーにも大胆に2文字目を間違えていた。
「違うよ、息子の名前間違えないで」
少し感情を入れて伝えたら、どうしようととまどっていた。
今度はペンが悪いとは言わなかった。
とまどう義母が「もういいや」と投げやりになる前に、
余白を指さしながら、「ここに書き直せばいいよ」と伝える。
そんなやりとりもしながら、今月もカレンダーの書き込みが完成した。