ドラマの中には暮らしや整理収納のヒントがあふれている。
あのテレビドラマのシーンから整理収納のプロが分析・解説する!?
ちょっとニッチなドラマレビュー。
小さなころからテレビドラマが大好きです。
妄想癖がある私は画面を見ながら自由自在に思いを巡らせていました。
整理収納アドバイザーになってからは
そのシーンや内容は「整理収納」とリンクしても楽しめるようになりました。
今回取り上げたドラマは市川実日子さん主演の「ホットスポット」です。
バカリズムさん脚本、あの「ブラッシュアップライフ」と同じスタッフが作る地元系・エイリアン・ヒューマン・コメディーという初めて耳にするキャッチのドラマです。昨年から楽しみにしていました!
富士山麓のビジネスホテル「レイクホテル浅ノ湖」で働くシングルマザー遠藤清美(市川実日子)。 中学生の娘と暮らし、時々地元の幼馴染とのおしゃべりを楽しむ平凡な日常だ。
ある日、交通事故に遭いそうになった清美は同じホテルで働く高橋孝介(角田晃広)に自転車ごと持ちあげて命を助けてもらう。 尋常でない力を持つことを口止めされた清美は高橋が宇宙人であることを知らされる。 口止めされたにも関わらず幼馴染のみなぷー(平岩紙)とはっち(鈴木杏)に話してしまったことから、宇宙人高橋と3人の新たな関わりが始まってゆく。
効率良い「モノの配置」はかなりリアル
ドラマでは清美の家が度々登場します。
朝の身支度の慌ただしい時、夜のまったりしている時、休日まとめて掃除洗濯をする時。
フルタイムで働き、子育て中の清美は忙しいのです。
家事は効率よく進めたい。 その様子がとてもリアルです。
まず頻繁に立つキッチンを観てみましょう。
・冷蔵庫前・・・小さなホワイトボード、クーポン、ごみの分別表が貼ってある
・冷蔵庫上・・・時短でみじん切りできるチョッパー、サラダの水切り器、タッパーが並ぶ
・冷蔵庫横・・・繰り返し電子レンジで使える蓋、お裾分け用紙袋
・棚・・・麺とレトルトソースは横並びにセッティング
・レンジの上・・・スライサーセット
・コンロ背面・・・フライパンがパンチングボード(?)に下げてある
コンパクトなキッチン内でほぼ歩くことなく料理ができるような効率の良いモノの配置が
素晴らしいです。
見えるところによく使うモノが収納されていることで中2の娘も家事に参加しやすいですね。
チョッパーや水切り器、電子レンジ用の蓋など、時短に大活躍の今どきのグッズも上手に活用していて、とてもリアル。 ドラマの美術さんはもちろんの事、もしかして、脚本のバカリズムさんが「家事ヤロウ!!!」などで得た情報も反映されているのかもと想像したりして。
朝のメイクシーンにも注目です。
娘は洗面所で化粧水をつけていて、清美は居間のコタツに入ってメイクをします。
コタツに座った清美はサッと脇から箱に入ったメイク道具と鏡を取り出してコタツの上にセッティングします。
おそらく同じ時間帯に洗面所を使うことを避けて、場所を分けているのでしょう。
お互いの動線を邪魔しない参考になる場面です。
清美の部屋の様子や暮らしぶりから効率よく暮らしを回し、生まれた余暇は娘とまったりしたり、幼馴染とランチして楽しんだりするメリハリの利いた手際の良さを感じます。 そして物語の小さなエピソードからはひょうひょうと日々の暮らしをこなしながらも義理堅い面や地に足の着いたお母ちゃん的なところも垣間見えてとても魅力的な人です。
職場のスペースはゾーニングがポイント
次に清美の職場であるホテルの事務室を観てみましょう。
こちらは限られた空間の中でも働く人がオンとオフを切り替えやすいゾーニングの工夫がされています。
・ホテルで使うモノが収められている棚(シーツ、アイロン、アイロン台)ゾーン
・事務作業をするデスクゾーン
・お茶などを飲む休憩ゾーン
広い空間を多用途で使う時に、用途ごとにゾーンを分ける方法は整理収納の現場ではよく使
います。 ここではシーツやアイロンを取りに来る人と休憩する人を遠くに配置して、人の動き
が気にならないゾーニングが活きていると思います。
この休憩ゾーンは窓際にあり、 給湯エリアにも近いので居心地がとてもよさそうです。
休憩用の机のすぐ脇には各々のカップが入った小さな棚、電気ケトル、充電エリアなどが見受けられ、窓からは富士山が見える贅沢さ。ソファに座れば、瞬時にオフモードに切り替われそうです。
置いてあるもの、貼ってあるモノじっくり見れば見るほど実際に使っているホテルを使った撮影なの?と思うほどのリアルさです。
このようなリアルな生活を感じられる背景があると、おのずと物語にもリアリティーが加わり、「宇宙人」という日常からかけ離れたワードも、なぜか「ああ、宇宙人ね」なんてすんなり受け入れてしまえる気がするのは私だけでしょうか。
物語は宇宙人である高橋が清美たちのちょっとした困りごとに力を貸してくれる日常をコミカルに描いています。
イヤイヤながらも副作用にも耐えながら特別な力を使ってくれる宇宙人高橋。
まだまだ謎は沢山あるけれど、困っている人を放っておけない気の良い宇宙人のようです。
今後はいったいどんな力を発揮してくれるのか、そして高橋が地球に居る意味は?
1週間が待ち遠しいドラマに感謝しつつ、私も宇宙人と出会わないかな~とキョロキョロしてしまう今日この頃です。