ひつじのまなざし PR

「虎に翼」に観る整理収納

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ドラマの中には暮らしや整理収納のヒントがあふれている。
あのテレビドラマのシーンから整理収納のプロが分析・解説する!?
ちょっとニッチなドラマレビュー。

小さなころからテレビドラマが大好きです。
妄想癖がある私は画面を見ながら自由自在に思いを巡らせていました。
整理収納アドバイザーになってからはそのシーンや内容は「整理収納」とリンクしても楽しめるようになりました。

今回私が取り上げるドラマは、伊藤沙莉さん主演のNHK 連続テレビ小説「虎に翼」です。
伊藤沙莉さんは「ひよっこ」の米子で強烈に印象に残って以来気になっている女優さんです。
今回もハスキーボイスでテンポの良いせりふ回しを聞けるのが楽しいです。

今から約90年前。まだ日本では男女の立場や権利に大きな開きがあった時代。
猪爪寅子(伊藤沙莉)は女学校を出たら結婚を望む両親に反して、結婚に幸せを見いだせず
法律を学ぶことを決意する。そして様々な困難を乗り越え、やがて日本で初めて弁護士になった女性の一人となる。
これは実在の人物 三淵嘉子さんをモデルに描いた作品だ。

我慢強いにもほどがある!

通常の朝ドラであれば幼少期(子役)の期間が第1週というのがお決まりですが、今回はいきなり主人公「猪爪寅子」(伊藤沙莉)の登場で始まりました。テンポよくぐいぐい引き込まれています。
それにしても90年という時間はこれほどまでに世の中を変えるのかとしみじみ思う毎朝です。
前回の「ひつじのまなざし」で取り上げたドラマ「不適切にもほどがある!」で昭和(約40年前)を思い出した時も、当時「普通」と思われていた事と現代との違いをかなり感じていたのですが、それをグーンと上回っています。 私の娘などはもはや外国? 時代劇? と感じているようです。

ドラマの中でキーワードのようによく使われる「スン」としている女性たち。
とにかくよく働きます。 まず料理。当時は冷蔵庫もないので食料の保存も効きません。食材を買う頻度は今よりだいぶ多いことでしょう。 調理も例えばごま和えを作るならごまを煎り、すり鉢であたる。すりごまなんてないのです。(ねりごまなんて途方もない!) お浸しに振りかける鰹節も削るところからなんて、今の若い人は知っているでしょうか。
片付ける時も食洗器もなければよく落ちる洗剤やスポンジもありません。
そんな今より何倍も手間と時間のかかる家事をこなしながらすべてを「主人のおかげ」と言わんばかりに「スン」としてきた昭和初期の女性たちは途方もなく我慢強い!

はる母さんの整理収納と家事効率

さて整理収納のおはなし。
今回はまず整理収納アドバイザーならきっとにやりとしたであろう第2話の「にの二の棚」について触れてみたいと思います。
母の猪爪はる(石田ゆり子)は来客用の皿を納戸から取ってくるように寅子に言いつける時に「にの二の棚からとってきて」と言います。
「に」とはいろはにほへとの「に」でいくつか並んだ棚にそれぞれ名付けられています。「二」は棚の段につけられているので「にの二の棚」と言えば探す時にすぐに限定できます。
整理収納では「ラベリング」と呼んでいる方法です。「ラベリング」は収納されているモノや種類の名前を書くのですが、棚に名前を書いておくというはるさん流ラベリングは、収納するモノが変わってもラベルを張り替える必要はありません。その代わり誰が見ても何が置いてあるのか一目でわかることはできません。
ただ私は実ははるさんはそれぞれの棚に何が収納されているのかを帳面に記しているのでは
ないかと思っています。
なぜなら毎日「献立、用事、記憶すべきこと」という記録を付け続けているほどマメな人だからです。

女優の沢村貞子さんが忙しい女優業の中、毎日の献立を記している献立日記を読んだ時もそ
のマメさに驚きましたが、家庭という船のかじ取りをするために日々の事、とりわけ食事の記録は健康を守るだけでなく、「去年の今頃は何を食べていたかしら」と献立を考えるよいデータにもなります。献立を考えるのは毎日のことで案外面倒な作業ですから、このようなデータは家事効率を上げるのにとても役立ちます。
まさに「情報の整理」ですね。
モノの名前を棚に書かないのは家事を一手に担っている自分だけがわかっていればよいと考
えているからかもしれません。お嫁さんに家事を譲る時が来たら各棚にあるモノを記した帳面を共有する、そんな場面がいつか見れるかなと楽しみに思っています。

猪爪家のキッチンは瓶、大小壺型の容器、ざるが多くあります。瓶は酒、味醂、醤油などの調味料、つぼ型の容器は漬物壺、味噌壺、塩壺など、あとは大小様々なざるです。
収納方法としては、棚や調理台の上に置かれているか、吊り下げられています。
一目で何がどこにあるのかわかるのでとても効率よく調理できますし、ざるは吊り下げ収納する事で自然に乾燥させられます。
私が見る限りすべての調理器具が表に出ているように思えるのですが、そうなると
今後注目したいのはシンク下の観音扉の中と中央のタイル張りの作業台の下に何が入ってい
るのかというところです。 普段用の食器かなとも思うのですが、今の時代にはあまり思いつかないモノがしまわれていたら面白いですね。 ちょっと期待してしまします。

母はるさんの応援を得た寅子はいよいよ法曹の道に踏み出します。
個人的には個性的な兄 直道(上川周作)にも注目して楽しんでいこうと思います。

文・みのわ香波
ひつじPlanning主催 整理収納アドバイザー。
ドラマを観る時は「ながら観」はせず、できれば一人でじっくり派。
登場人物の観察からの妄想がルーティン。
ドラマは「暮らしを切り取ったもの」、整理収納は「暮らしそのもの」
「映画に観る整理収納」「ドラマに観る整理収納」(ブログ専用ver)はひつじPlanningのちょっとずつお片付けでゆるっと掲載中。
虎に翼
放送:NHK 毎週月曜から金曜 朝8時~
出演:伊藤沙莉、石田ゆり子、岡部たかし、仲野太賀、森田望智、上川周作、土居志央梨、桜井ユキ、平岩 紙、ハ・ヨンス、岩田剛典、戸塚純貴、松山ケンイチ、小林 薫ほか