言い方ひとつで、考え方ひとつで物事は結構うまくいく。これはとりなし隊長がちゃちゃっとメモしたような気楽な記録と提案です。
〈今回のとりなし対象は母だし、私だし〉
実家の母に付き合って、リビングの椅子を買いにいったのが先月のこと。
引き取りは8月中旬の予定。ちょうどお盆の時期なので椅子を引き取りに行く日に皆で食事でもしましょう……ということになっている。
8月に入って早々、母から電話が来た。
椅子を引き取る時の引換証が見当たらないという。
ほーらきた! 私は間髪を入れず母をさとす。
あの時、家に帰ってから「その引換証は無くならないように、ちゃんと財布に入れておきなね」って言ったのだ。
すると母は、財布は出し入れすることも多いから、別のところにしまっておくと言って、立ち上がり、別の部屋の引き出しにその場でしまいに行ったのだった。
そこなら絶対に忘れないからと。
たしかにそこは、私が子どもの頃から例えば新聞の集金が来た時の支払い用のお金や、私の習い事の月謝を入れたりする場所だった。母がしまったところは見ていないが、その場ですぐに対応したので安心していた。
このやりとりを鮮明に憶えていた私は、母を説得する。
「無くなるわけないよ、あの日、私はこう言って、お母さんはこうしたんだから!」
そう説明しても、「ないのよ。この間、レシートとか整理しちゃったのよ」と母。
整理したのだとしたら、あの引換証を目にして捨てちゃうことはないから、盗られたり、勝手になくなっちゃうこともないよとも言った。
(ちなみに、母に物盗られ妄想があるわけではないので念のため)
買い物の記録はしっかりとノートにつけてあるらしく、「母はニ〇リから引き取りに来てくださいと電話がかかってくるかしら?」と気にしている。
取りに行かず放置していたら連絡が来るかもしれないけれど、問題はそれではない。引換証を見つければいいだけの話だ。
「あるよ、大丈夫だよ」とさとす私と、「無いのよ」の一点張りの母。
そこで私はこう言った。
「無い無いと思って探さないで、あると思って探して。引き出しの中全部出して、あるぞと思って探してください」
ちょっと笑う母に、「ないと思って探してるでしょ?」とドヤ顔で聞く私。
「うん」と素直な母。
「ある、絶対あるぞと思って、まだ時間は余裕があるからゆっくり探してね」と付け足した。
店側には以前の購入記録データも残っていたくらいだから、引換証が無くてもなんとかなる気もするが、とにかく電話口の私は母に、「あると思って探して」を強調した。
そして、出来た娘だ! と自己肯定感をあげまくっていた。
このエピソードを「聞いてくださいよ~」と話してしまうほど自慢げだった。
実は幼い頃、探し物をしている私に、少し歳の離れた長兄が「七度探して人を疑え」ということわざで諭したことがある。この記憶がいくつになっても鮮明に残っていて、探し物がある時にはいつも自分にも家族にもこれを言い聞かせて冷静に探すことに努めてきた。
「え、整理収納アドバイザーならそもそも探し物の必要なんてないでしょ?」
というツッコミはここではスルーさせていただこう。
母との電話の最後は、「私、これから出かけるから、見つかっても電話してこなくていいよ。気が向いたらLINEを送って」だった。
さあ、引換証は期日までに見つかるだろうか。