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くじ運がなくたって

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日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。

初めてのことなんてまだまだたくさんあるよね、といつも思っている。
大なり小なりある。
いろいろ舞台を観ているが、先日初めて当日券に並んだ。
その当日券は、抽選式。
開演の1時間前までに並び、そこで番号を渡される。それを抽選して呼ばれた順に、用意された当日券の枚数分の該当者が購入できるという仕組みだ。

単なる先着順にすると、いろいろ弊害というか公平性に欠けるということから配慮された方法なのだと思う。
並んだとて観れるかわからない、その不確実にかけるか否かを選択するところから始まるわけだ。

知人を誘って観にいこうと予定していた作品だった。
当然ながらチケットは獲れると思ってだいぶ早くからお声がけしていたにもかかわらず、
すごい人気で何度チャレンジしてもチケットが獲れなかった。

作品はミュージカル『ドリームガールズ』。
そもそもソウル、R&B好きの私は、この作品自体のファンで、映画はDVDでも持っていて、海外招聘版も観てきた。
あきらめがつかなくて、当日券へのチャレンジに踏み込んだのだ。

規定の締切時間の30分前くらいについて、当日券の列の先頭に並んだ。
渡された番号は「1」。
時間になって係の方がくじを引く。なんとなく嫌な予感がした。
昔からくじ運が悪い。
そして、こういうのをなんでもない風にして待っている時の自分が結構ダサくて嫌いだ。

案の定「1」が呼ばれない。「まあ、まあそうよね、1番目に引くのが1ってことはないしね」となんでもない風に待ちながら、嫌な予感は引き続いた。

その列には7人並んでいたのだが、私は最後、7番目だった。
平日の昼間ということもあり、当日券に並んだのは7人だけだった。
6席までは確保されていて、くじ順に空いているバラバラの6席から選ぶという仕組みだと説明されていた。
そして7席目はというと、条件付きの見づらい席だがご案内できると言われた。
前方だが一番端なので、死角が出来ること。スピーカーとの位置関係で音がこもるような感じがあるかもしれないということを説明された。
それでも良ければ購入できる。
あとは、当日キャンセルが出た場合、開演前ギリギリにはなるが空きがあればご案内できるとのこと。
でもそれはキャンセルが出ないかもしれないので、賭けになるということだった。

結果、私は条件付きの席を購入した。
「早くから並んでいただいていたのに申し訳ありません」
「でも日によってはそもそも抽選にはずれてご覧いただけない方もいらっしゃるので……」ととても丁重に対応いただいた。

私はちょっと恥ずかしかったので
「なんかちょっと恥ずかしいです」とおどけて言い、「とても評判もいいみたいで観たかったのでよかったです」と御礼を伝えた。

そうして、当日券で観ることができたミュージカル『ドリームガールズ』はとても素晴らしかった。
いいストーリーなのだもの。
登場人物たちが、皆、見せどころ、聞かせどころがあって、ラストも清々しくて好きなのだ。

ああ、ライブに行きたい! 裏拍で手拍子したい! ヘタッピでもステップ踏みたい。
そんな熱の高まりを感じつつ、劇場をあとにした。