理由あって週イチ義母宅 PR

大門未知子じゃいられない

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理由あって週イチ義母宅に通っている。
これは、主にその週イチに起こる、今や時空を自由に行き来する義母とその家族の、
ちょっとしたホントの話だ。

週イチ義母宅がスタートし、ケアマネージャーさんらと打ち合わせをする当初から、
私は義母の下のお世話はいたしませんと宣言していた。
それこそ、「ドクターX」の大門未知子ばりにキッパリ。

当然のことながら、当初は今より出来ることが多かったし、
私以上に義母だってそれは望まないことだったはずだから。

こう宣言することは健全だったと思う。
下のお世話をしないけれど、私はこれなら出来ます。これはやります。と分けることで、
ヘルパーさんにお願いすることが明確になる。
家族だからとか、暗黙の了解などというワードは、こういう場においてはNGですらあると思う。

それから4年半の月日が経過して、状況はいろいろと変化している。
そして、宣言していた下のお世話も、週イチの一日を終えて帰る時にはなんとなくサポートが必要になってきた。
絶対にそういうことを望まない、プライドの塊だった義母も、デイサービスやヘルパー訪問でお世話になっていることが普通になっているからだろう、
私のサポートも特に嫌がることなく受け入れている。

義母はとても汗っかきだ。代謝がいいということだろうか。
連日の暑さなので、部屋はエアコンが常時ついていて、ヘルパーさんが温度管理もしてくれている。
義母のテリトリーである四畳半は、間違いなく快適温度なのだが、
廊下やトイレ、台所はその分暑い。
手持ち無沙汰で、じっとはしていられなかったのか、私が到着した時には、
水をかぶったのかと思うほど洋服が汗でビショビショだった。
タオルで汗を拭き、着替えを手伝った。
まあね、義母と旅先で湯に入って背中を流したこともある身としては、
これくらいはね、うん。

昼食後、洗い物を終えた義母をトイレに促した。
そろそろ行ったほうがいいよね、ということも感覚としてわかるようになってきた。
ヘルパーさんがするように、私もトイレチェックをする。
汚れたものは自分で捨ててもらうし、とにかく出来ることは自分でしてもらう方針は変わっていない。

よし、じゃあキレイになったからあとは紙パンツをはくだけ、となったとき、
……っていうわけにはいかない、のね……という状況を見て、さすがに黙認できず、
ついにザ・下のお世話をお手伝い。
常備しているビニール手袋のおかげで、事なきを得た。

満足感? そんなものはない。
達成感? そういうものとも違う。
かといって嫌悪感を抱いたわけではない。
強いて言うなら、「私にもそういう日が来たら誰に拭いてもらうんだろう」みたいな
漠然とした不安感みたいなものは感じたかもしれない。

と、そんなジメっとしていてもつまらないから、
いつものように義母に向かって軽口を叩く。
「ああ、キレイになってよかったね。さっぱりしたでしょ。
まさかね、私が〇〇さんのウンを拭くだなんてねっ!
ウンがついたってことで、買いものついでに宝くじ買おうかな」
そういったら義母はケラケラと笑ったので、ふっとラクになった。

そして今日は大安吉日らしいので、ウンがついたはずの私は、有言実行、宝くじをちょっとだけ購入した。
宝くじ売り場のおばさんの「当たりますように」は、今日は「いつもお疲れ様」の意味も込められているようで、ちょっとうれしかった。