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夏の祭りの楽しみ方は似てる?

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スウェーデンに暮らすゆきこさんと、季節ごとにおしゃべりするオンラインFIKAタイム。
2回目の今回は、スウェーデンと日本の夏まつりについてふんわりキャッチボールしました。

Akiko スウェーデンでは先週が夏至のお祭りでしたよね?(取材は6月末)
Yukiko ミッドサマーでした。日本ではなにかする?
Akiko しないね。その日のニュースのお天気コーナーで、「今日は一日で最も昼間が長い日でした」と伝えるくらい。
Yukiko そうだよね。祝い方の違いも面白いなぁと思って。スウェーデンは6月6日が日本だと建国記念日にあたるナショナルデーだったの。でも日本の2月の建国記念日と同じくらいの扱い。それはきっと日本もスウェーデンも植民地化されたことがないからだよね、とこちらで話してたの。独立記念日がある国とは違う部分で、日本とスウェーデンが似ている部分かなと思って。
Akiko なるほど! 確かに日本で今、「国民の休日といえば?」というクイズがあったら建国記念日を真っ先に答える人は少ないような気がするね。
Yukiko スウェーデンではそのナショナルデーよりも盛大にお祝いする休日がミッドサマー。お祝いするのは金曜日のミッドサマーイヴで、この日は祝日ではないけれど大体の会社はお休みになるんだ。
Akiko どんな風にお祝いするの?
Yukiko 今年も夫の両親の家に木曜日の夜から行ってお祝いしたよ。メイポールと呼ばれるポールに森から摘んできた花を飾りつけて、そのポールの周りを輪になって踊るの。
Akiko ずーっと一晩中踊るって聞いたけど、そうなの?


Yukiko 私たちが行ったのは小さな教会の集まりだったから、こじんまりとしていたかな。さまざまなところでメイポールを囲んでダンスするイベントは行われていて、どこに参加してもいいんだよね。ダンスと言っても子ども向けの踊りという感じだったけれど、場所によっても違うと思う。


Akiko 日本だってお祭りはいろいろなところであるけれど、規模や形式も場所によって違うもんね。
メイポール、三角のとんがりに丸い輪っかが2つついている相合傘みたいなデザインだね。
Yukiko 検索すると画像もいろいろ出てくるかな。ポールをお花で飾りつけして、私たちは花かんむりをつけて踊るの。義弟のパートナーがお庭で摘んだ花で花かんむりを作ってくれたんだよ。
Akiko 老いも若きもみんなで踊るの?
Yukiko そうだね、でも子どもが主役かな。フォークダンスとも違うのだけど。踊りたい人が生演奏に合わせて歌い踊る感じ。
Akiko 音楽は、スウェーデン民謡みたいなものがあるのかな?
Yukiko 昔から決まっているみたいで、短い音楽を何度も繰り返すんだよね。
Akiko 日本の盆踊りでいうところの炭坑節みたいな感じかな。
Yukiko あれ? 炭坑節って炭坑の人が踊るものじゃないの?
Akiko えー、どうだろう~。一般的に一番スタンダードな盆踊りだと思ってた。♪月が~出た出た~月が~出た~
Yukiko あー、それかー! ミッドサマーで有名なダーラナという町があって、そこではもっと大きなメイポールを立てて、伝統衣装を身に着けた人たちが踊ったりしているの。
Akiko ダーラナホースが有名なダーラナ、だよね。
Yukiko 今年はこじんまりとしていたから、来年はもう少し大きなミッドサマーのお祭りに行きたいなと思っているんだ。


Akiko ミッドサマーのイベントでザリガニを食べるんだっけ?
Yukiko それはまた別のザリガニ漁が解禁になった時に行なわれるサマーパーティーのことだね。8月かな。お酒を飲んで、ザリガニを食べて……という豪快なイベント。でもわが家はあまりザリガニを好まないので、取り立ててパーティーはしない予定。
Akiko なるほど。スウェーデンではザリガニを食べる……というのは、それこそIKEAのイベントで知ったんだよね。ミッドサマーでは、なにか決まったものを食べる?
Yukiko 茹でた新じゃがにディルが入ったサワークリームのようなものをかけて食べるよ。

Yukiko あとはシィルというニシンの酢漬けを食べるの。私はそのシィルが好きで、普段からよく食べてます。酢漬けの中には玉ねぎやブラックペッパーが一緒に入っていたり、オレンジが入ったものなど、味のバリエーションがあるんだよね。特にミッドサマーで食べるマッチェスィルには、シナモンやサンダルウッドが香りづけに入っていて好き嫌いが分かれるんだよね。
私は黒パンの上にスライスした茹で卵とスタンダードのシィルを乗せて食べるのが好き。
Akiko お魚の酢漬けは日本でもよく食べられるから、私も好きだな、きっと。
Yukiko 苦手な人も多いから「奥さんはシィルが好きなの?」とよく聞かれるみたい。

クネッケというクラッカーのようなパンの上にシィルとゆでたまごをトッピング(Yukikoさんの食卓から)

Yukiko ミッドサマーで食べるものがもう一種類あって、それはイチゴ!
Akiko ちょっと意外な組み合わせ。
Yukiko イチゴをホイップしていない生クリームをかけて食べるんだよ。
Akiko イチゴに生クリーム、やったことないなぁ。
Yukiko 日本だと牛乳でしょ?
Akiko でも今、日本でもイチゴをつぶして牛乳をかけて食べるのってあまりやっている人見ないかも。昔に比べて甘くておいしく品種改良されたイチゴがたくさん出回っているから。
Yukiko えー、子どもの頃、つぶしてお砂糖と牛乳をかけて食べるイチゴミルク、大好きだったよ。イチゴに生クリーム、初めての時は驚いたけど、こちらは乳製品がとても美味しいから、食べたら予想以上に美味しかった。タマゴも放し飼いで育てられたニワトリのタマゴしかほとんど売ってない。牛も放牧が普通だからね。

Akiko そういえば、以前、ゆきこさんにスウェーデンの放牧のお話を聞いたことがあったよね。
Yukiko 牛舎で過ごす長い冬を経て、初めて外に放牧される日。 スウェーデンの春の風物詩とも言えるのかな。そこに何万人も集まるとは聞くけれど、正直なところ何が楽しいのかイメージ出来なかったの。でも今年実際に参加してきてとっても楽しかった!


Akiko すばらしいロケーション。映画のワンシーンみたい!!
Yukiko 一斉に放牧されて、でもそれを眺める時間はあっという間に終わって、牛たちは普段通りの草を食む生活に戻るのだけど、そこに集まった人たちは皆、笑顔でそれを見るんだよね。そして主催の乳業メーカーさんからシナモンロールと牛乳が配られるのをもらうという、のどかなイベントでした。
Akiko 地域密着型のそういうイベント、いいなぁ。日本で言ったらその地域にある工場見学が公開されて、地元の人たちが行って、お土産もらってくるみたいな感じかなぁ。


Akiko 今日はイベントやお祭りの話をしているけれど、私が幼い頃住んでいた場所は、近隣と比べて特に小さな町内会だったの。たいていはその町内会にある児童公園に櫓を建てて、そこで盆踊りがあったり、夜店が並んだりしてたと思うけれど、うちの町内会はそういう広場や公園がなかったから、道路を通行止めして、会館前の道路で長細い輪を作って盆踊りをしてた。
Yukiko 道路で?
Akiko そう。しかもわが家がある通りが夜店通りになって、うちの車庫は車を出して射的場になってたんだよね。夜店の一番人気は、町内にある焼き鳥やさんが提供する本格焼き鳥。その煙や香りと共に記憶に残っている感じ。子どもの数が減って、今では実家のある町内会ではお祭りはしなくなってしまったの。私たちが子どもの頃が一番ピークだったと思う。花火大会とか、フェスみたいなものは増えているかもしれないけれど、地域や有志で……っていうのは首都圏を中心に廃れている感じだよね。
Yukiko そうなんだー。残念だね。でもそういう思い出があるのはいいよね。
Akiko そうだね。お祭りって、景色と食べ物と人の笑顔みたいなものがセットだなって思う。ゆきこさんのスウェーデンのお話を聞いても、やっぱりそれがセットだなぁって改めて思った。
ゆきこさんの小さい頃のお祭りの思い出は?
Yukiko おばあちゃんが住んでいた大田区洗足池のお祭りかなー。夏は必ず行ってたな。盆踊り好きだったんだよね。
Akiko ちなみにゆきこさんは、お祭りの屋台だったら何が好きだった?
Yukiko すもも! すもものまわりに水あめがコーティングされているあれが好きだった。
Akiko あんず飴ってのぼりが出てるけど、すもものほうが人気だったよね。あれは子どもの憧れだった。
Yukiko 今は屋台とかで買いたいと思わないのは、大人になったからかな?
この焼きそばにこの値段は出したくないな、みたいな(笑)。
Akiko 同感。でも祭りというか、グルメフェスみたいなのは日本ではすごく人気で、皆、行列作って並ぶよね。日本人は並ぶの好きだなぁって思うけど、スウェーデンの人って並ぶ?
Yukiko 並ばない……。レストランとかお店で並ぶという光景はほとんど見たことないな。人が少ないっていうのもあるけれど。

Akiko 今回は夏至祭からはじまり、お祭りやイベントの話が出来ました。スウェーデンの夏はいつ頃まで?
Yukiko その年によっても違うんだけど、9月に入ると秋っていう感じかな。
Akiko 残暑という言葉はスウェーデンにはないんだね?
Yukiko ないない。だから短い夏が過ぎ去ってしまうのが寂しいの。夏がいってしまった……みたいな曲もたくさんあるくらい。
Akiko 日本は残暑というか、とにかく異常な暑さで、これがどれほど続くかわからない。季節のある国に生まれたと思っていたのになぁ。
ゆきこさんと次にお話するのは、そちらに秋の便りが届く頃ですね。
短い夏を楽しんでくださいね!
Yukiko はーい、これから湖に泳ぎに行ってきまーす!!

Yukiko Hermanssonさん

物書き、フォトグラフィー、ボディセラピーと関わりながら、ちょっとノマドのようにゆるりと動く。

東京でカルチャー雑誌の編集者→京都とカナダのスパでタイ古式マッサージセラピスト→鎌倉でハワイアンマッサージのサロン運営→再び東京でオンラインストアのコンテンツライターに。

2023年7月にスウェーデン人の旦那さんと一緒にスウェーデンに移住。 自然の中を歩きながら写真を撮ることが好き。最近はスウェーデン語を勉強しながら、スウェーデン料理&お菓子のレシピを試す毎日を楽しむ。

スウェーデンの風とともに、北欧の紅茶とコーヒーを届けるサイト Fikahuset
2019年にスウェーデンの素敵なお茶の文化フィーカを日本で広めるべく、オンラインストア Fikahuset(フィーカフセット)をオープン。北欧のコーヒーと紅茶を販売し、売上げの一部をスウェーデンの自然保護団体に寄付している。

photo by Yukiko Hermansson
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