Tea and・・・ PR

「今度は小さく。」から始まったポートランド発SMITHティー

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紅茶コーディネーターのイノチカが、さまざまな角度から紅茶と共に過ごす時間をご提案するオリジナルエッセイ。

好きなのは紅茶を愉しむしあわせな時間と空間。
一人の時もあれば、大切な誰かと一緒の時も。自宅をはじめ居心地の良い場所でのTeatime。
私の人生の中で、紅茶と紐づく記憶は、いつもしあわせと結びついています。
暮らしに紅茶を取り入れて、日常にもっともっとしあわせな時間を増やしていくことができたなら……。
紅茶にまつわるあれこれを綴ります。どうぞ紅茶を片手にお付き合いください。

《Tea and・・・「今度は小さく。」から始まったポートランド発SMITHティー》

昨年、横浜駅のNEWoMan横浜に、『STEVEN SMITH TEAMAKER(スティーブン・スミス・ティーメーカー)』という紅茶専門店がオープンしました。
何度か足を運んではいたものの、いつも賑わっていて、ちょっと覗いてみるくらい。
いつかゆっくり時間がある時に行ってみたいな、と思っていたところ、平日に娘と横浜へ買い物に行く機会があり、ティータイムに訪れました。

私と『SMITH』との最初の出会いは2016年。当時アメリカ、ポートランドに住んでいた妹家族から、お土産にもらったのがきっかけでした。
名前も知らず、ポートランドの小さな紅茶屋さんなのかな、くらいに思っていました。
ところが飲んでみると、想像以上においしい!
香りも自然で心地よく、その一杯に驚いたことを今でも覚えています。

「いったい、どんな人がつくっているんだろう」
そんな興味から調べていくうちに、創業者Steven Smith(スティーブン・スミス)という人の歩みに惹かれていきました。

スティーブン・スミスの物語

1949年、ポートランド生まれ。
1972年、仲間とともに『Stash(スタッシュ)』というティーブランドを創業します。小さな家の地下室から始まり、ハーブやスパイス、茶葉を組み合わせ、新しいお茶の楽しみ方を提案していきました。

当時のアメリカは自然食品への関心が高まり、食べ物を単なる商品としてではなく、素材やその背景まで含めて見つめ直そうとする動きが広がっていた時代でもありました。
ちなみに『Stash(スタッシュ)』はその後、時代の波に乗り、世界初のスペシャリティー・ティーカンパニーへと成長し、日本の老舗茶商・山本山の傘下へ入ります。

『Stash(スタッシュ)』を離れたスミスは、1994年に二つ目のティーブランド『TAZO(タゾ)』を創業。ブレンドの魔術師や、紅茶界のマルコポーロとも称されたスミスはこちらも大きく成長させ、1999年にはスターバックスが買収します。

しかし、ブランドが大きくなる一方で、自分のやりたいことを形にする難しさも感じるようになったと、スミスは後に振り返っています。

2006年、『TAZO(タゾ)』を離れたスミスは、妻と幼い息子とともに南フランスへ。
二つの紅茶事業を成功させたあとの、悠々自適な隠居生活? 本人も、引退するつもりだったようです。
ところがそこで、チーズやパン、チョコレート、ワインなどを、自らの手の届く範囲で丁寧につくる職人たちと出会います。
作る人の顔が見え、土地が見え、その人の手から直接、品物を受け取る。
そんな暮らしに触れるうちに、スミスの中には、ある想いが芽生えます。

「もう一度ティーカンパニーをやりたい。ただし、今度は小さく。」
そうして2009年、故郷ポートランドで三つ目のブランド、『STEVEN SMITH TEAMAKER』を始めました。

ブランドを大きくすることで、遠くまで届けられるものがある。
けれど、小さくすることで、伝えられるものもある。
茶葉の個性、作り手の顔、その土地の風景。
スミスにとって「小さくする」ことは、とても重要でした。
一度それまでの場所を離れ、違う時間の流れに身を置いたからこそ、自分が本当に大切にしたいものが見えてきたのではないか。
彼の人生を知って、私はそんなふうに感じました。

「誰が作ったのか」
「どこで採れたのか」
「どんな素材なのか」
そして、少量でも個性的で質の高いものをつくることの価値。
そんなスミスの価値観は、今も『STEVEN SMITH TEAMAKER』に受け継がれています。

SMITHの紅茶には、それぞれのブレンドに番号がつけられています。さらに対象商品の箱の底にあるバッチ番号をたどると、その一杯に使われた茶葉や素材が、どこで育ち、収穫されたものなのかを知ることができます。

紅茶から伝わる大切なもの

いつも何気なく口にしている一杯にも、歴史がある。
遠い土地で茶葉を育てた人がいて、それを選ぶ人がいて、ブレンドする人達がいる。
時間をかけて、いくつもの土地と人の手を渡ってきた紅茶が、今、私と娘の前にあります。歴史や産地を知ったからといって、紅茶の味そのものが変わるわけではありません。
けれど、その一杯の向こうにある人や背景を知ると、味わい方は少し変わる気がします。
一杯の向こうにある風景に少しだけ思いを馳せて、五感で感じてみる。
そんなゆとりの時間を、とても大切に感じています。

この日、私と娘が選んだのはNo.33のマサラチャイ。
私はホットで、娘はアイスチャイラテを注文しました。
「そっちも飲んでみたい。」
と、お互い交換したり、紅茶とともに渡された産地や特徴が書いてあるカードを見たりしながら、いろんなことを話しました。
カードの情報で知ったのですが、No33はなんとインド・コルカタ地方の市外局番。面白い!

特別な話をしたわけではありません。
でも、ゆっくりと紅茶を頂きながら、目の前にいる相手の話に耳を傾ける。
丁寧につくられた一杯の紅茶が、私たちにも、やさしい時間を過ごさせてくれました。

後日、娘から、
「なんだかまた、あのSMITHに行きたい!」
とリクエストがありました。
「おいしい紅茶なら家でも飲めるよ。」と言った私に、
「あの時の楽しかった記憶と紅茶のおいしさが一緒になっていて、ちょっと特別な感じがする」と娘。
私もその言葉を聞いて、「確かに。」と納得しました。

私達は一杯の紅茶の味だけを記憶しているわけではないのかもしれません。
香り、その場所、一緒にいた人、交わした言葉。
そんなものまで一緒になって、私たちのココロに残っていく。
紅茶には、私たちのところへ届くまでのストーリーがあります。
そして誰かとその紅茶を飲んだ瞬間から、今度は私たちのストーリーが始まるのかもしれません。

このエッセイを書きながら、またSMITHの紅茶が飲みたくなりました。
次に飲むならNo.55 Lord Bergamot(ロード ベルガモット)が気になります。
どうやらアールグレイに使うベルガモットにもSMITHのこだわりや「今度は小さく」に通ずる信念が生きているようだから……

そろそろ、紅茶のお代わりはいかがですか?
紅茶とともに、あなたのもとに小さなしあわせがたくさん訪れますように。

ライフイメージコンサルタント・ 整理収納アドバイザー・紅茶コーディネーター。
紅茶好き。でも、どんな暮らしをしたいのかを模索する中、理想の暮らしを手に入れるためのゆとりを創り出す整理収納と出会い、本当に好きなのは紅茶を愉しむ時間と空間だと気づく。私にとってTeatimeは小さなしあわせを感じ、人生の大切なことに気づかせてくれるゆとりの時間。今日も紅茶を片手にしあわせなひと時を過ごしている。