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ごほうびみたいな夜

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日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。

仕事の後のビールはうまいに決まっている。
片付けの後のご褒美スイーツは甘いに決まっている。

では、その昔、楽しく頑張った仕事仲間との再会は……、
嬉しいに決まっていた。

実に15年振りの再会だった。
会う日が決まってから、何年振りか数えたら、初めて一緒に仕事をしてから16年の月日が経過していた事実に驚愕した。

広報担当さん、カメラマンさん、編集担当の私。
再会したのはその3人。
あの頃編集を担当していたフリーマガジン内のクッキングページのために
3人で毎月取材、撮影をこなしていた。連載は1年間、全13回だった。

いよいよ再会の日の午前中。急いでバックナンバーをスキャンし、PDF化したデータを
ドライブにアップして、再会の場所へ向かった。

15年の間に、私以外の2人はママにもなっている。
感動とちょっと照れくさいのもありつつの「お久しぶり」だったが、
いざ乾杯してお食事がスタートすると、もうなんだろう、やっぱりそんな年月が経過していることなど信じられない感じの楽しい時間だった。
話し足りず、場所を変えてコーヒーを飲みながら、ずっとずっとおしゃべり。
スキャンデータを見ながら、懐かしい話もしたし、
それぞれの仕事の話もしたし、それぞれの毎日の暮らしの話もした。
そのバランスがなんとも心地よかった。

待ち合わせの店に向かう電車の中で、私は過去の連載ページを丸っと読み返した。
クッキングレシピページの中にも細々としたルールや配慮があったことを思い出す。
本文には、今の自分の書き方のクセもしっかり出ている。この頃からもうこういう書き方を
好んでいたのだなぁと少し恥ずかしい気もする。

スキャンデータを2人にも見せると、カメラマンの彼女は、撮影時の記憶をするするとよみがえらせた。
広報担当の彼女は、当時ご協力いただいたシェフのお顔をチェックしながら、
その後の活躍に思いを馳せた。

ライターという仕事には、特別な資格は必要ない。
でも取材や編集の経験はここにある。
一生懸命、まじめに、でも楽しくて仕方なかった仕事の足跡を見ながら、
15年振りのご褒美みたいな夜にありがとうとつぶやいた。