自分らしさ、暮らしやすさを提案するらしく・おうちと整理研究所 主宰の柳澤とも子が、夫婦で手塩にかけて作る庭と植物についてつづるガーデンフォトエッセイ。
8月11日の夜から12日の未明にかけて、台風が通り過ぎました。
今回の台風は、正直なところ、そんなに大きなものと感じませんでした。
ところが翌朝、庭に出てみてびっくり。
スモークツリーとカツラの木が、大きく折れていたのです。
特にスモークツリーは、ふわふわと煙のような花をつける姿が好きな大切な木のひとつ。折れた枝が横たわる姿を見ると、思っていた以上にショックでした。
植物を長く育てていると、枯れてしまったり、虫にやられたりすることはあります。それでも、一晩で突然、それまであった景色がなくなってしまうのは、また違った寂しさがあります。
しばらくは「残念だなあ」と眺めていたのですが、折れてしまったものは元には戻りません。スモークツリーの折れた幹の枝を落としながら廃棄する準備をする夫を見ているうちに、ふと思いつきました。
「これ、家の中に飾ったら面白いかも」
太く曲がった幹は、それだけを見るとまるで大きな流木のよう。細かな枝や葉を落とし、乾燥させて、リビングの天井から吊るしてみることにしました。
もともと我が家には古い家具や植物、少し変わった雑貨などがたくさんあります。その中に庭で育った木の枝が加わると、買ってきたインテリアにはない存在感があります。
「なくなってしまった」と思っていたスモークツリーが、今度は家の中の景色の一部になりました。
庭では、もうひとつ気になっている場所があります。
先月亡くなったフェレット「なっちゃん」のお墓です。
埋葬したあとに植えたタイムが、少しずつ枝を伸ばし始めています。植えたばかりのころは、まだ土のほうがずっと目立っていましたが、今では小さな緑がじわじわと広がってきました。
庭に出るたびに、その場所を見ては、なっちゃんの可愛らしかった姿を思い出します。
少しの寂しさ、たくさんの「ありがとう!」
そして…、「もっと広がれ、もっと広がれ」
そんな気持ちで眺めています。

いつかタイムがお墓をすっかり覆って、緑の中にあの子が眠っているような場所になってくれたら。そんな日を楽しみにしながら、これからも見守っていこうと思います。
今回の台風では、大切な木が折れてしまいました。
一方では、新しく植えたタイムが少しずつ育っています。
庭では、なくなるものがあれば、新しく育っていくものもある。そして、なくなってしまったと思ったものでも、スモークツリーのように、形を変えて残せることがあります。
そんなことを考えていると、これは整理収納にも通じるところがあるように思います。
整理をするとき、「使わなくなったから捨てる」「古くなったから処分する」という二択にしてしまうと、片づけることがつらくなることがあります。
そんなときは、「このモノの好きなところは何だろう?」と一度考えてみるのもおすすめです。
例えば、長年使ったお気に入りのワンピース。もう着る機会はないけれど、柄が大好きなら、その布を小さな額に入れて飾ってみる。旅先で買った器が欠けて食器として使えなくなったなら、庭や玄関で小物入れや鉢受けとして使ってみる。
「使う」という役割を終えても、「飾る」「眺める」「別の用途で楽しむ」という役割なら、まだ残っているかもしれません。
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