日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。
東京ドームでいわゆるコンサート・ライブを観たのは、実は過去2度しかない。
一度目は1998年、Boyz Ⅱ Menやダイアナ・ロスが出演した「MOTOWN 40th ANNIVERSARY FESTIVAL」。
二度目は2005年、平井堅による「Ken's Bar Special in TOKYO DOME」。
私の好きなアーティストが東京ドームという場所を選んでこなかったから以外に理由はないのだが、2024年、東京ドームでのLIVEが似合い過ぎるアーティストを浴びに出かけた。
その名はブルーノ・マーズ。
2022年秋の来日公演時に、「行きたいなー、行きたいなー」と稲川淳二のようにつぶやいていながら、結局チケット争奪戦に乗り遅れたこともあり、
2023年夏に、24年の来日公演の情報が解禁されるや否や「今度こそ!」と気合を入れていたのである。
終わってみて気づいたが、写真が一枚しかない。これは、別日に友人もドームに観に行っており、たまたま列が1階スタンド13列だったという偶然があり、彼女は1塁側、私は3塁側から見えた景色を交換するために撮ったものだった。
撮影は禁じられておらず、動画を回している人もたくさんいたが、私は始まる頃にはスマホをカバンの中にしまい、ライブに集中した。
それにしてももう1~2枚くらいは撮っておいてもよかったかもしれない。
とはいえ、スタンド席の数列前では、ほとんどの時間動画を回していた人が結構いた。
手ブレしないように、しっかりとスマホを抱えて、ずーっとずーっと撮っていた。
いや、楽しみ方はいろいろだから、禁じられていないわけだし本人が良ければいいのだが。
それにしたってなんか気になる……と思ったので、途中から頭を切り替えて、「あの人は、本当は今日来られない人のために、どうしても見たいと言って大泣きした人のために使命感を持って撮影し続けているのだ」と妄想することにした。
話を元に戻そう。
ブルーノ・マーズは実に楽しそうにステージで歌い踊っていた。
茶目っ気もたっぷりで、ショーマンシップに溢れていた。
それでいてカリスマ感よりフレンドリーが上回っていた。
歌うこと、踊ることが気持ちよくて仕方ないという「音楽は友だち!」みたいなオーラが出ていて、自由だった。
だのに、HELLO KITTYとのコラボタオルの広げ方(柄の見せ方)は完璧だったし、
これはブルーノの技とは違うと思うけど、時折カメラで抜かれてビジョンに大写しされるのは、ちゃんとビジュアルのいい人ばかりだったのも完璧だった(笑)。
その最高に楽しい雰囲気は観客にも確実に伝播していて、「音楽は友だち! 私は私の楽しみ方でこの音を浴びる」そんな雰囲気に包まれた。
客席にはブイブイのHip HopやR&Bオタクもいるし、外国人アーティストがとにかく好き民もいるし、おしゃれを楽しむように音楽を活用している人もいるし、
老いも若きも、夫婦も友だち同士も、同僚もカップルも、あらゆるジャンルの人が集っている気がした。
「Best of Bruno Mars Live at Tokyo Dome」
のタイトル通り、ブルーノ・マーズのあの曲も、この曲も演奏された。
絶対一緒に歌えるようにしておこうと思って聴きこんでいたはずの「♪Just the Way You Are」も自信を持って歌えたのはそのタイトル部分で、あとはなんちゃって英語&ハミングだったけれど、
それすらも許される幸せなライブだった。
ライブが終わると、ドーム内がパーンっと明るくなり、そこには余韻を感じさせるBGMは流れない。潔くてちょっと笑ってしまう。
ライブ後、小腹を満たすためにドームの後に大抵迷わず向かう店で食事を終えて、最寄りの水道橋駅に戻ると、何万人もでごった返していたあのドームにいた人たちの姿はほぼなく、
駅の改札は普通の日常だった。
時間にすると30分ちょっとしか経っていないはずなのにである。
その感じが、ライブ終わりのドーム内の雰囲気とリンクしていて、清々しかった。
(JRの職員と日本の鉄道の優秀さの賜物)
東京ドーム公演7日間を即完させたブルーノ・マーズは、世界中に「音楽は友だち!」を伝えてくれる人なのだと思う。